サイレントウェイのクラスで使われる教材は、カレブ・ガテーニョ氏によって学習を手助けするために考えられました。教科書や文法解説書はありません。教科書があると、講師は書かれていることを説明することしかせず、プログラムからそれることは滅多にありません。教科書が講師にすべきことを決めているのです。その教科書のマニュアルに従わなければならないので、講師が学習者の弱点を考慮することはあまりありません。
このチャートは色のついた長方形の集まりで構成されており、発音を学ぶために使われます。それぞれの色はフランス語の1つの音に適応しており、このチャートにフランス語の音全てが載っていることになります。学習者が音と色の関係性を一通り理解すると、講師はチャートの1つまたは複数の長方形を指すだけで、学習者にフランス語のいかなる音も発音させることができるようになります。このチャートから単語だけでなく、文までも作ることができます。もし上手く発音できていなければ、講師はチャートを指し、学習者は自分で間違いを訂正します。
このチャートにはフランス語の機能語、つまり明確な文法システムに対応し文を構成する単語が集まっています。これらの単語はサウンドカラーチャート、フィデルと同じ色コードで書かれており、学習者はこれまでに得た発音を単語の中で見つけることができます。
フィデルは発音矯正に使われるサウンドカラーチャートと同じシステムで成り立っており、それぞれの音に対する全てのつづり字が書かれています。フィデルはフランス語の発音とつづりの関係性を明白にしながら、書きの学習を可能にします。フィデルを指すことで単語を作り、頭の中で単語のつづりを書くことができます。
レグレットは、長さと色が異なる、小さな木の棒です。カレブ・ガテーニョ氏は目で見ることができ、実際に触れることができるという特徴に着目し、これらを用いました。クラスで学習者はレグレットを触り、積み重ね、交換し、床に投げることさえできます。クラスの参加者にとって具体的で視覚可能な状況によって、学習者は今していることをフランス語で言いたいと思うようになります。レグレットは、数学のxのように全ての単語の代わりとなります。また、家や車、さらには人のような様々な物を表すこともできます。レグレットの使用方法は無限大です。
講師の沈黙がこのメソッドに名前を与えた由来と言われています。沈黙を保つことで、講師は学習者に発言するよう促します。もしクラスで学習者が話すならば、学習者は必ず進歩するでしょう。講師はすでにフランス語を話せるので、話す必要はありません。講師は学習者自身で考え気付くための道筋を作る目的でクラスにいるのです。また、沈黙を保つことで、複雑な文法の説明により生徒と講師自身が途方に暮れることも避けることができます。講師が話すのではなく、生徒に話させるのです。講師はパネルや棒を使いながら、生徒の問題がある箇所を生徒自身で見つけ出すまで示していくだけでいいのです。講師は沈黙を保ちますが、無言なのではありません。もし必要だと判断すれば、講師は話すことができ、いかなる場合においても、学習者が打ち込んでいる学習を妨げることはありません。
サイレントウェイの授業では、生徒はポインターをもってクラスに参加します。生徒は先生がサウンドカラーチャートの色を一つずつ指すたびに音を出していきます。生徒が音を確認したいときには、生徒自らがポインターでサウンドカラーチャートの色を指し、他の生徒と共に正しい発音を確かめることもできます。
コム・レ・フランセの授業では、発音練習の際に手鏡を使用するときがあります。使用目的は正しい音と口の形の関係を正確につかむためです。例えば講師が唇をもう少し前につきだすよう指示したとします。生徒はその正しい発音をするため、唇を前につきだす練習をするのですが、生徒自身が出来ていると認識していても、実際にそれを鏡で見て先生と自分の唇の形を比べると少し違うことがあります。生徒は鏡を見ながら発音することで、自ら正しい音を出すための口の形を発見することが出来るのです。